ルウィスパ
立ち話もなんなんで、俺達は喫茶店に入った。もちろん、ワリカンで。
「……じゃあ、君の家で話を三十分ばかりした後で」
「はい……彼女は帰った、はずなんですけど……」
ということは、六時までは彼女がどこにいたかこれで判明したな。そして、帰宅途中、何かあったと。こいつの家からは三十分もありゃ着く距離だし、寄り道するようなものが近辺にはないから……
「でも、当初は警察にこのことを言っても、ほとんど動いてくれなかったんですよ。どうしてでしょう?」
家出と思っていたから……というのは口実だろう、これは。俺はメモを取るのをやめ……聞いてみたいことをぶつけた。
「君、九条幸一って知っているかな?」
「……何か、この事件に関係あるんですか?」
……警戒しだしたな。俺は緊張をほぐすようにオレンジジュースに口をつけ、
「いやねぇ、街で聞き込みしてると、西高とか北高とかの生徒が言うんだよ。『歩く死神に殺されたんだ』ってね」
ストローで何気なさそうに彼を指差す。
「失踪に、関係はないはずですよ」
田村は俯いた……ウソのつけない奴だな。
誘導尋問もいいかも知れないが……こういうタイプはこちらの手札をさらけ出した方が、信用されるな。
「いや、もうぶっちゃけて話そう! 俺は奴が怪しいと思って調べてみた。まあ、実際、凄まじく怪しい経歴だったんだが……君の証言で十中八九、アリバイが固まっちまった