ディー
むしろ、こうやって自分がバケモノだとばらすのは……効果的である反面、リスクを伴う。
俺がそれを周りにばらす、というリスクが。殺そうとして逃がした場合は(……体が動かない状況で逃げる、というのはほとんど考えられないが……)なおさらだ。
それに、俺が殺さるか、あるいは行方不明になれば、それを探そうとする者が出てくる。当然こいつ等は圧力をいろんな方面に掛けるだろうが……師匠は、そんな権力とは無縁だ。ゴキブリ並みのしぶとさと執念で真実に辿り着き、何かしらの方法でその真実を世間に暴露するだろう。
もし俺がバケモノの立場なら、そんなことは絶対にしない。
ガキは驚いたように俺の後ろ―多分、冴羽がいるんだろうが―に眼を向けた。
「凄いネ……ここまで冷静でいられるとは思わなかっタ……サスガ冴羽ッチの隠し玉」
「……いえ、私もここまでとは思いませんでした」
ふっ、と俺の身体に自由が戻ってきた。前方につんのめりそうになるのをどうにか踏ん張る。
「ウン。そうだヨ、世良智明サン。ボク達が人外の存在である、ということを知って貰った上で、依頼したいことがあるんダ」
「……で、依頼したいってことは?」
ソファに腰掛け、俺は気を取り直し……たいが、正直、逃げたいというのが本心だ。しかし、眼の前にいるのが吸血鬼では……
「その前に……探偵サンはボク達―異端種って狂信者は呼んでいるケド―ようは、バケモノのことをどう思ってイル? ボクは吸血鬼だから血を啜るバケモノってところなんだろうけど」
俺は、答えられなかった。まさに、その通りだと思っているからだ。
「そういうバケモノがいたら、人はどう思う?」
「……いつ殺されるか、わからん。殺される前に殺せ、だな」