ウパ
「しかし……九条幸一に依頼して本当によろしいのでしょうか? それに、『覚醒』と『渇き』についても一切触れませんでしたし」
「ン? どういう意味?」
ソファに座り、コロコロした声で答えるルナは、傍目から見れば無邪気な子ども。そこに、彼女の隣りに直立不動で立ち、冷たい美貌の冴羽が声を掛けるとどうしても違和感が付きまとう。
「調査の限りでは、異端種や魔術師の社会に彼が身を置いたことはありません。この事件に彼が関わり、我々の存在を察知することで我々に何かしらの害が及ぶかもしれません」
「……マア、そういうことも考えられなくはないケド」
ルナは少しばかり思案し、
「でもさ、冴羽っちは会社の仕事で忙しいシ、ボクはボクで他の異端種を静めるので忙しいカラ、昼や夕方はトモカク、夜はとてもじゃないケド動けナイ……こんなに大っぴらに動くんダカラ、相当自分に自信もっている奴デショウ? 今動けるあの三人じゃ、チョット心許ないヨ。返り討ちが関の山じゃナイ?」
ハァ、と溜息をつき机を見つめる。
「キョウが……」
冴羽は間を一つ置き、呟く。まるでその名を発することが、一握りの勇気を必要とするかのように。
「……キョウが、います」