カーテン妄想本

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デビゲウィス

デビゲウィス

女の質問に引き摺られつつ、幸一はどうにか食品の買い出しを終えた。もちろん、物を買うのにはお金を払わなければいけないことも女は知らず(『祝福の地』から墜とされて、こいつは今までどうやって暮らしてきたんだ?)、レジを通さずに大量に品を持っていってしまい、危うく盗人と間違われる所だった。

これから女に様々な人間界の常識を叩き込まなければいけないという事実の前に、さぞかし幸一は暗澹としていることだろう。

もうとっとと帰りたいだろうが……まだ用事が一つ残っている。そう、女の服を調達せねばいけんのだ。

女は興味深そうに色々な服を手に取っていたが……選び始めて一時間が経過した所で、幸一がどうにか女を試着室に押し込むことに成功した……成功していなければさらに時間が浪費されたのは間違いない。

幸一は試着室の前で買い物袋両手に女を待っているが……脇で待っている店員もこれまでの経過を知っているだけに、同情の視線を投げかけている。

試着室のカーテンが開く。どうやら試着が終わっ……

「じゃーん! どう?」

「…………」

「……た、た、大変、似合っていらっしゃると思いますよ」

店員は、引きつるような笑みをどうにか浮かべることに成功した。その努力は賞賛すべきだろう。内心は置いておくとして。

「幸一、これ、どう?」

 顔に満面の笑みを浮かべ、絶対の自信を浮かべている。

「…………」

 幸一は言葉を吟味……している訳ではないな、絶対。

 ……分厚い赤のセーターを着ている。まあ、これだけなら良い。今は春だが、冬に備えるためだと理解できる。

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