ビル
俺はテーブルに身を乗り出し、
「でもそれであいつの、あの怪しさ満点の経歴の説明はできん。奴の経歴が、今回の事件と関連するようなものなのか判断したい」
田村の眼を射抜いた。俺の迫力に押されたのか、田村は、
「……もう、調べているんでしょう! なら僕が話せる事は何もありませんよ! 僕だって、何がなんなのかわからないんだから!」
そう言って、田村はアイスコーヒーを飲み干す。まるで、何かを隠すかのように。
「ああそうだ。九条絡みの意識不明事件で、唯一生還した田村俊也君」
「!」
意識不明に陥った者の中で、一人だけ外傷があり、かつ生還した人物。そんな重要人物は、マークしないほうがおかしいだろう。
田村は悔しそうに手をギュッと握り、
「……そこまで知っているなら、幸一について僕が知っていることは、全て知っていますよ!」
今度はヤケクソ気味にわめいた……チッ、今度はどうも本当らしいな……
「幸一自身は、『自分には悪魔が巣食っている』とか言ってましたけど……そんな与太話、探偵さんにはどうでもいいでしょう?!」
もう僕は、全部洗いざらいはいたぞ! とでも言いたげに田村は腕を組んだ。
よりによって、悪魔か……まったく……これで本当に振り出しだ……!