ィスパー46
車に乗せられ、連れてこられたのは……
「どうぞ」
車から降り、俺が見上げたのは、数十メートルはあろうかという高級ホテル。闇夜に燦然と輝くネオンは、まるで太陽のようだ。
そして、このホテルの名前が……双葉。つまり、双葉コーポレーションが持つホテルかここは?
旧財閥の一つで、世界的にも有名なあの?
冴羽と名乗った女性は一人ホテルの中に入っていき……あの俺をおどしたボディガード達は車から降りてこない……一応、ついていくとするか。ここで逃げてもすぐに捕まる。
彼女はやはり双葉コーポレーションの中でも高い地位にいるようで、従業員はうやうやしく頭を垂れている。予約も取っていなさそうだし顔パス、というやつだ。俺の素性についても聞きもしない。
彼女がエレベーターに乗ったので、俺もそれに続く。
「悪いけど、二人きりにしてくれない?」
エレベータガールにそう告げ、降りさせ、二十七階と入力する。
エレベーターが動き出すと冴羽は俺に正対し、頭を下げた。
「まず、非礼をお詫びさせて頂きます。事態は急を要するもので」
「……非礼というより、ありゃ脅迫だろ」
俺は苦りきってそう呟くが、冴羽はまったく表情を崩さない。
「私がお詫びしたのは、あの件についてではありません。これからお会いしていただく人物の非礼を、代わりに私が謝罪しただけです。先程の件は、すでに『大変申し訳無い』と謝罪済みですから」
謝罪済み? おい、ちょっと待て! 拳銃突きつけおいて『大変申し訳無い』ですまされる……お、落ち着け、クール、クール。