ウィパ
「おい、あんたは客に飲み物も出さない程の無礼者なのか?」
少女の視線を射抜くように睨み付けているが……眼の前の少女は小馬鹿にしたように薄っすらと笑っているだけ。
「ワインでも持ってきてよ。ボクにはあれヲ」
「……よろしいのですか、あれを持ってきて」
「子どもがワイン飲んじゃいけないでショウ?」
何がそんなに面白い、コロコロした声で……いかん、冷静に、冷静に……
「ブレイモノって呼ばれるのはイヤだからナァ、自己紹介させてもらおうカ。ルナ・クレセント、一応ここのホテルのオーナーだヨ」
ここのホテルのオーナーってことは、双葉コーポレーションの総帥ということだぞ、おい? ……まあいい、すぐに化けの皮を剥いでやる。それまではそちらのペースに付き合ってやる。
「世良智明、探偵だ」
「二十三歳、独身、彼女ナシ。父親は十一歳の時に肺ガンで死亡し、母親は埼玉で一人暮らし。大学時代から進藤遼平という探偵に師事し、つい三ヶ月前に開業したシンマイ」
……こいつ……
「だけど、弟子時代から進藤サンに代わって解決した大きな事件も三つあり、中々有望な若手である……これってホント?」
「はい、その筋では有名な話だそうです」