ルー
ウォ……! また後ろを取られてしまった……! 俺の背後にはワインとトマトジュースを持ってきた冴羽が佇んでいた。
グラスにそれらを注ぎ、『どうぞ』と手渡されるが……毒でも入ってんじゃねえだろうな? 眼の前のガキは美味そうにそのトマトジュースを飲んでいるが……
「ウン? 毒でも入っていると疑うのなら、お互いの飲み物を替えようカ?」
「……結構だ」
……俺は憮然とした表情でそのワインを一気に飲み干した。ガツン、とガラス製のテーブルにグラスを叩きつける。
もちろんこれもクールに怒りを装っている。心底から怒っているのではない。
「駄目だヨ、短気は損気」
「用件はなんだ」
俺は、単刀直入に切り出した。拳銃まで突きつけられたんだ、穏やかでいろって言うほうがおかしいが……ビー・クール、だ。
ガキはいかにもって感じで、わざとらしくがっくりするが……普通のガキが俺の過去を全部知っている訳が無い。
「じゃあ、こっちも単刀直入にいおうカナ。ボクもそんなに暇じゃないんだよ、実ハ」
そう言ってウインクし、
「探偵サンの選択肢は二つ。ボクに従うか、死ぬカ」
膝の上に頬杖をつき、挑発的な笑みを象った。
拳銃つきつけてくるくらいだからな……まあ、そんな所だろう。
「三桜弥生の件から手を引けって言うのか?」
だとすれば、警察も動かず、七つもの探偵事務所から断られた理由は簡単だ、このガキが圧力かけたんだろう。眼が、そうだと肯定していやがる。